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少年少女囲碁大会の報告 ~あさとの夏~

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今夏の少年少女囲碁大会に参加した松田彩聖くん(中学生代表)の大会報告です。
連合会行事でもお手伝いいただいている彩聖くんママに記事を書いていただきました。
難しい情勢の中での保護者目線の貴重な感想文になっております。

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息子が6月6日の県代表決定戦で、念願の少年少女囲碁大会全国大会への切符を手にした。
単純に嬉しくもあり、楽しみであり、少しの不安もあり、まだ先の事でどうなるか分からないと自分の中に留めおいた。
2020年の大会は中止になった。
今年も中止になるのでは…。
そう思いながらも、開催されることを願っていた。
本人にとっても小学生の頃から1番出場したい大会であることには間違いがなかった。

ただ、全国大会が近づくにつれ、コロナ情勢の不安が大きくなる。
県の代表者が順に出場辞退を申し出る度に、うちはどうする?と頭をよぎる。
どのご家庭も家族会議で何度も話し合ってきて、苦渋の決断もあっただろう。
それでも我が家では特に話あったりはしなかった。だんなは事前にホテルを予約してくれていたし、「行くな。」とも「考え直せ。」なども一度も言わなかった。
私は何度かは息子に聞いた。
「こんな状況だけど、出場どうしたい?」
答えはいつも決まっていた。
「出場したい!」
皆んなが辞退した後、最後に聞いた時だけ
「…どちらかと言えば…やっぱり出場したいんだよな…」
ボソっと絞り出した。
この言葉で私の覚悟は決まった。
「じゃあ行こう!頑張ろう!」

ーー
8月17日(火)〜19日(木)は日本棋院本院で全国高校囲碁選手権大会が一足早く開催されていた。
団体戦から始まり、富山県代表の男子富山中部高校、女子高岡高校の生徒達の頑張りの便りが届く。
男女どちらも5位入賞!素晴らしい!
個人戦では枠抜けは叶わなかったものの、男女とも健闘の様子を感じられ、感動した。
息子と向かう先では、ドラマが生まれている…。
息子は何か成果を残せるのか…そんな不安も過ぎった。

しかし大会前までにも、すでにドラマがあった。
沢山の不安を抱きつつも、大会参加を果たした子供達。大会に送り出した保護者の思い。
引率された顧問の思い、学校側の思いもあるだろう。
それから今回、残念ながら参加辞退する事となった選手と、その保護者の思い…。
特に念願の代表となった子にとっては、辞退する悔しさ、無念さはいかほどだろう…。
保護者に至っても、どんなに悩んだだろう…。
親子共に辛い決断だったろうことは痛いほど感じられる。
私自身も幾度も悩んだから。
それぞれの決断に、言うことはない。
全部受けて私と息子は参加を決意した。
富山県代表選手で参加するのは小中学生4人の内、息子だけになった。
ーー

8月20日(金)〜21日(土)の全国大会参加のため、19日午後の新幹線で東京入りした。
不安がない訳ではない。不安だらけだ。
出来る限りの準備はして来た。
空間除菌グッズを鞄に付け、マスク抗菌スプレー、イオンブロック剤、除菌ウェットティッシュ、除菌アルコールスプレー各種。
効くか効かないか分からないが、もはや御守りとしてこまめにシュッシュ、シュッシュ。
そうしてホテル入り。
食事は朝意外はコンビニ弁当。
ホテル、コンビニ、会場だけの最低限の移動。
夜はみやれーのYouTubeを見せると興味を持って
「明日の作戦が決まったわ!」
と言って眠った。なにかぐっと芯が入ったように思われた。



20日、ちょっと余裕を持って9:00少し前に日本棋院本院入り。親子で何度も夢見た舞台。
受付まで少し時間がある。外に出て待つ事にした。
参加辞退が多いからだろう、対戦表の発表は当日朝だった。受付で対戦表をもらってから確認する。
小学生は2階、中学生は3階の会場へ。
保護者は感染対策のため、対局会場前まで。
息子には「頑張って!あと楽しんで!」と伝えた。

1回戦の相手は宮城の中2山口哲平君。
坊主頭のがっちりめイメージ。
息子は緊張気味。
うわぁ…どうだろう…。






3階の入口付近は密度も高く空気がどんより気味だったので2階の密度少なめ辺りで待つ事に。
小学生の対局は、あっという間に終わって行く。
中学生ともなると、みんなそれなりに時間を使っている。
そろそろ終わるかと3階に向かうも、息子の対局が終わらない。
終局していないのはあと2組だけ。
1回戦は絶対落とせない。
粘りに粘っているんだろうことが想像された。
思う存分頑張れば良い、そう思った。

しばらくして2人で受付に報告にくるのが見える、勝者はどちらか…。
神妙な顔。息子が勝ったよと報告してくれた。
「4目半勝ち。白持ち。盤面では負けの碁。」
でも勝ちは勝ち。とりあえず、ホッとした。
「お疲れさん!」
外に出て水分を摂って、すぐ2回戦が始まる。
「会場に行くわ!」と言う息子の背中に
「頑張って!」と声をかけた。

2回戦の相手、岡山の中2津川賢史君。
ん?名前に見覚えがあるぞ?と思い過去の少年少女囲碁大会を調べた。
第40回大会の小学生の部で全国4位入賞者だ!
あははは…(^^;;知らない方が良いだろうなナァ…
そう思った。
先生に伝えたところ、
「チャンスはある。それが、あさとの碁」
と返信が来た。
全くダメでもないのかぁ〜、そう思うと私の心も落ち着けた。

それでも終局は気になる。終わり頃には3階に上がり、入口付近まで行き中の様子を伺った。

「勝ったよ!」
息子の言葉にびっくりした。そして嬉しかった。
結果は中押し勝ち。チャンスはあったのだ。

昼食は、6階か1階の控室。がどちらも人がいっぱい。外に出て入口の石垣でとることにした。
同じ考えの親子がそれぞれ距離をとって食事中。
朝、コンビニで買って来たおにぎりを頬張った。

午後一番、3回戦の相手は神奈川の中3高橋大地君。
ここまで2連勝の相手だ。
Aブロックには2連勝が3人!
もう1人の奈良の中2の草木和仁君は、京都囲碁道場でも強い子と聞いた。
枠抜けのかかった勝負だ。
結果は、残念ながら盤面数目負け。
予選リーグは2勝1敗となった。
高橋君の枠抜けは決定した。
ここまでか…と思った矢先、枠抜けの可能性があるから待つようにと指示を受けた。
3回戦、草木君が息子の2回戦の相手、津川君に負け、点数は息子の方が上で2位枠抜けを果たしたのだ。
今回の大会、感染予防に気を張るあまり、そちらの方にばかり気を取られていた私も勝ち越しどころか枠抜け出来たことにびっくりした。
ベスト16入りだ!!
1回戦の相手、山口君が肩を叩いて
「頑張れ!」
と応援してくれる。嬉しい光景だ。

本戦1回戦は、場所を2階に移して行われた。
相手は佐賀の中1、樋口駿君。
これは残念ながら力及ばずで中押し負け。
ベスト8入りまであと一歩のところだった。

今大会、息子は予選リーグでは十分に力を発揮出来た様子だった。一局一局、しっかり向き合えたようで、
「宗一郎(今大会を辞退した友人)に見せたかった碁だったなぁ〜」
そう言っていた。
本戦では力及ばずだったものの、「それでも、もうちょっと行けたかも知れない…」と感じたようだった。

ひとつの目標、ベスト16入りを果たし、売店で息子の思い出に、自分へのお土産を選ばせた。
疲れたからホテルに帰ろう、そう言う息子と会場を後にする時、宮城の山口君が外まで出て来てくれ挨拶してくれた。
囲碁の素敵だなぁ、と思うのはそんな所だ。
一期一会の出会いがある。一局向き合うと分かり合える何かがあるのだろうか…。

ーー
余談だが大会会場では、まだまだドラマがあった。
見てるとハラハラドキドキしてるのは本人より親の方で、報告を聞いて涙ぐむ親、対局室の入口で対局が終わるまで祈る様に最後まで見届けるように立ってる親。
暗示をかけるように言葉にして応援する親。
喜びも残念さも不安も親子で共有しながら、いろんな形があった。

そんな中、一番印象深いのは、あっという間に対局を終わらせて来る小学生の「楽しかった〜!」と言う言葉!!
勝っても負けても、中学生になっても、シンプルに、
「楽しかった〜!」
コレが最高に素敵だと感じた。
ーー

こうして息子の大会は終わった。
今回の大会参加出場については、正直正誤は分からないでいる。
ただ私は息子の気持ちを尊重したかった。
ただそれだけ。

息子も感じるものがあったと思う。
その中でベスト16入りを果たしたということは、素直に彼なりに頑張った結果なんだと思う。

ーー
8月29日(日)PCR検査の結果が陰性と出た。
不安続きにやっとほっとした。


記事・写真:あさとママ(中学生代表 松田彩聖 母)
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